次松大助のオフィシャルブログ


by taisuketsugimatsu
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GREETING CD(4)


こんばんは。

「GREETING CD」の歌詞の話はこれで最後です。
読んで下さったみなさん本当にありがとう!



"「うん」と云う日 "



知人の遺品整理でもらった金魚鉢に故人を呼び戻すため、お盆の祭りの金魚すくいに赴く一組の夫婦の話。



この夫婦の役割でいうと、あきらかに夫がつっこみ役なのだけど、話としてはつっこみ役のほうが暴走して変な方向に進んでいく、という展開にしたくてしたくてこうなりました。



「ダンデライオン」、「さくらの花が~」の次にこの曲の作詞をしたので、

その二曲とは異なる二人の時間の奥行き(単純に二人が共にしてきた時間の長さ)を出したくて、

「揃いのお茶碗」というワードや、「うん」としか言わないのにコミュニケーションが成立している(結局のところの)二人の仲の良さだとか、そういうのをベースにした歌詞の内容になっています。



作詞してる期間にトイレに置いて読んでた高野文子(さん)の『美しき町』や、その他(「棒がいっぽん」に集録)など、「夫」 や「妻」 ではなく「夫婦」 としての個性をみたときの、特殊さというか独自さというか、おかしみのようなものに惹かれていたんだろうなと思います。








「うん」と云う日


おやすみって言うと 君はうんと云う。なんだそれは。

おはようって言うときも、やっぱりうんと云う。古い話

窓は閉めて寝なよって言うと、もう寝てる なぁ

いいのだけど


立派な日、立派なくつを履いていく 雨上がり

おまつりに行くって言うと にこにことして付いてくる

お盆の宵を歩く二人 「うん」と云う

灯りがともる


(あら、甘い匂いのお店も 通り過ぎてく

 まァ、魅惑のお面も見ないで 通り過ぎてく

 どこへどこへどこへ どこへ向かうんでしょう)


「和枝さんが亡くなって、金魚鉢をもらっただろう」

ひと掬い、彼女を取り戻しに行くんだよ。

お盆の宵を歩く二人、うなずいて

灯りのなかへ


ほら 尾びれも優雅に 彼女が泳いでる

ほら「掬いに来たんだよ」って、君はうんと云う

もぐる すべる うかぶ すくう 彼女は、夢をおよぐ



おやすみって言うと 君はうんと云う。なんだそれは。

揃いのお茶碗 買った日も 君はうんと云った。古い話


いつのまに買ったカステラを食べ、君は歩く

灯りのそとへ


ほら 尾びれも優雅に 彼女が泳いでる

買ったばかりのおもちゃみたいな、嬉しい重さで

はぐれると良くないから 手をつないで帰る

二人と一匹の金魚、きらきらの闇をおよぐ

もぐる すべる うかぶ 金魚はそっと夢をみる、夢をみる


おやすみって言うと、

おはようって言うと、

「うん」と云う

ただいまとか、おかえりとか、

「うん」と云う。二人と金魚 古い話






*追記:この曲は、僕の歌詞に何度か登場している、ゲルニカくんという主人公の、まだゲルニカくんが産まれる以前のその両親の話です。ゲルニカくんの口癖 "Hai" に対するかたちで「うん」しか言わないお母さんが出てきました。(蛇足ですが、夫は夏目漱石のイメージです。)
ゲルニカくん初出は『Mrs.Purple Rain』という、これもまた啓ちゃん作曲の曲です。











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by taisuketsugimatsu | 2015-03-15 00:28 | GREETING CD

GREETNG CD (3)



こんにちは。今日、夜はなにかと酔っ払いそうなので、昼にしました。


今日はマイスのオフィシャルにも歌詞の掲載がありますが、"ダンデライオン"という曲について書きます。


(作曲者(学くん)から「終わってしまった恋とかも、振り返ったら良い思い出」というような(実際にはもう少しあった)内容の作詞情報。)








"ダンデライオン"





(…Aという紙とBという紙を適当に重ねたときに出来る、ABの境い目のこと

 境い目は確かに存在するのに、境い目には面積が存在しないこと)






懐かしい場所に新しい人を連れてくる、その過去と未来を結ぶ作業を通じて、現在という面積のない一瞬を描けたら、学くんの言うことをうまく歌詞に出来るんじゃないかと思って書き始めました。


"くそがき"というアクシデントによって、過去と未来は急速に親密さを増して、つまり、"懐かしい場所"は彼だけではなく、彼女のものにもなることが出来ました。そのことが、僕は「やっぱり少し嬉しくなる」んです。


物事はいつだって、ここにある日々の、その最中(さなか)に起こります。

その最中、つまり今というものが、路傍に咲くタンポポの小さな生命に宿されて物語が進んでいきます。


季節のようにつかみ所なく、境い目のように面積のない"その最中"を大切にしたり、ときにアクシデントを迎え入れることで、学くんの言うように色々なことも「振り返ったら良い思い出」と捉えられるんじゃないかなぁ、と思っていました。



思い出の持つ、微かな体温のようなものは やっぱり、どうしてもどうしても失われていくもので、

だからせめてそのときの風景を思いとどめることが出来るように、最後はそういう想いを書きました。







『ダンデライオン』



懐かしい場所に 戻って来た日に

僕はどうにも照れくさくって、君は一人嬉しそうにして

どこかのこどもが駆けてくる すれ違い様に腰を殴ってくる

あっけにとられる僕の となりで君は一人 ひなたみたいに笑っている


路傍に咲くダンデライオン くそがきが駆けてゆく

君があんまり楽しそうだから ほら いいとこだろうって立ち上がる

タンポポが揺れている 君も揺れている

あぁ僕はやれやれと思う そしてその後やっぱり、少し嬉しくなる


「欲しかったものって なんだったんだろうって思うよ」

ひとの心の淵を覗いて どうにも恨めなくなったりする

割り切るのか、引きずって進むのか いくつになっても途方に暮れる

君が僕のとなりで そうやって笑ってくれて済むことが

たくさんあるんだよ


路傍に咲くダンデライオン 春をまとって揺れる

僕は僕で変わらなくちゃいけないと、

さよならしてから 好きになるんじゃあなくて

今ここにある日々の、その最中を歩く

あぁそして春をまとって、やれやれと嘆いて、僕たちは笑った


路傍に咲くダンデライオン 少年は駆けてゆく

僕はやっぱりゆるせなくなって 靴ひもを結び直して追いかける

息を切らす僕に 君が手を振ってる

季節はちょうど春で タンポポが揺れて 君が遠く笑っている

季節のように逃げる子、タンポポが揺れて、君がずっと笑っていた









追記:「さくらの花が、描くまで」と「ダンデライオン」の作詞前、作曲者からもらった歌詞のイメージがなんとなく近かったこともあって、登場人物をみんな同じ河原に配置しようという遊び心?が出ました。
なので、二つの曲はどちらも同じ河川敷を舞台に、
一方は未来へ踏み出すことを思い、一方は現在を踏みしめることを思う、という対比になっています。
アルバムの中でそういう関連づけをさせるのが、たぶん好きです。









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by taisuketsugimatsu | 2015-03-10 13:37 | GREETING CD

GREETNG CD (2)


こんばんは、SKA界の珍味です。



今日はGREETING CDの1曲目の、歌詞と歌詞にまつわる少しの解説です。
読まないほうが良かったという場合もあります。





"永久風船"

そもそも"永久"という言葉自体が嘘というか架空をはらんでいるので、そのために彼は乱暴な希望、乱暴な愛を口に出し続けなければいけなくなります。


そとの世界は希望に満ちている、ぼくはこんなにあいしている。


だけど、疾走の中で手からぼろぼろとこぼれていく理想。

「永久になおらない傷を、永久に舐めあっていたら、
 しまいに舌が摩滅してしまいはしないだろうか」(「砂の女」安部公房)


最後の最後で、彼は装飾をやめて本当の言葉を吐きます。


世界は誰とも約束などしない。


だけど、彼はもう大丈夫。だって、僕の歌詞に出てくる人たちはみな、
負けて逃げるときは ちゃんと中指を立てて逃げるんです。





『永久風船』



夜の海へ行こう そこから始めよう

君の眠る世界が 祝福に満ちるように

真夏の夜に浮かぶ 永久風船に乗って

虹の輪の真ん中で 君の見る夢を照らす


眩しい夜に目を細めて そう世界中が目覚めるんだ

「おはよう世界、ずっと待ってたよ」


夏の夜に浮かぶ 白い月に乗って

この世界はきっと 君が想うより おかしな場所


眩しい夜に手をかざして そう世界中が目覚めるんだ

「おはよう世界、逢いに来たよ」

Good morning the world,I came to see you


終わりまで行こうよ 今夜 ここから旅立つんだよ

果てのない物語を 汚れた街、きらめく世界

終わりまで行こうよ 今夜 あふれるくらい笑うさ

夏の夜空に浮かんでいく あの白い月につかまって


あぁ夜に浮かぶ二人はもう お喋りをやめて、目と目で触れる

「おはよう世界、ずっと待ってたよ」

  Good morning the world, I've been waiting all this while


終わりまで行こうよ 今夜 眩しい夜に浮かぶ

汚れた街、きらめく世界 ここから旅立つんだよ

I remember how much I love you, how I love you

星のきらめく世界に二人 甘い火傷をかさねるように

汚れた街でキスをしよう


終わりまで泣かないで あの白い月につかまって

汚れた街 見下ろして ここから逃げ出すんだよ


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by taisuketsugimatsu | 2015-03-08 20:50 | GREETING CD

GREETING CD

THE MICETEETHの話です。
昨年7月に再結成してから、初の大阪/東京ワンマンライブを終えて、
会場限定先行発売の5曲入りCD、「GREETING CD」が発売されました。
来てくださったみなさん、CDを聴いてくださったみなさん、ほんとうにありがとう!

ライブでも言いましたが、やってみるとことのほか楽しくて、という現状です。

幾夜かに渡って、歌詞と歌詞にまつわる少しの解説を書いていきます。なので、まだ"GREETING CD"をお持ちでなくて、購入してから
歌詞を見たい、という方はこの先を見ないようにお願いします。



はじめは、


"さくらの花が、描くまで"

(作曲者(ざわ)から、「春のイメージ。多くの、"桜をモチーフにした曲"のように、出会いと別れ、でも前向きな別れ」という作詞情報。)

ぼくが書いたのは、

初めは小さな小川をまたいで二人で歩いていたはずなのに、いつのまにか、手を振らなくてはいけないほど彼岸と対岸の距離が出来てしまった二人の話。自分で選んだのか、知らずに流されてそうなったのか。だけど、二人の道はもう決して交わらないから、そのことを一度頷いたなら、その大切な一歩はせめて誇らしくいきましょう。

そんな歌詞になりました。

散った桜の花びらが風のかたちを教えてくれるように、こころに沈殿した思い出たちこそが、いずれ今の心のかたちを教えてくれる、
そんなふうならばいいなと。
それに、だってそうじゃないと救われないじゃあないですか。



『さくらの花が、描くまで』


春の脚で 蹴り出してゆく

藍色をうすめた空に ただよう雲

花のかけらが 風を描く


「まじわらないだろう、それはいいことだろう?」

雪が灰色に変わってしまう前に

青い青い 青い空の下で、花のかけらが描くもの


幾重にかさなる白い花を 仰ぎ抜けてく

過ぎてゆくものは 茜に変わってかがやくだろう

青い空に飛行機雲、白線を引いていく

花のかけらが 君を描くまで


この道はそう、交わらないと 頷いていくんだよ

君は 僕の誇りだったと、青い空の下に描く






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by taisuketsugimatsu | 2015-03-07 01:10 | GREETING CD